秋は、祭りが多い。

秋の収穫を神さまに感謝し、その恵みを祝う意味合いが強い。

その土地に根差した祭りというものがある。
祭りは、人々の生活になくてはならない行事でもある。
年に一度は、祭りに酔いしれたいと思うのは、どんな国でもどんな地域であっても一緒なのだと。

 

この仙台の地でも、珍しい祭りがあるという。

 

墨 祭~SUMI FES~

墨象家の亀井 勤氏のひらめきで生まれた”墨まみれの一日”。
墨を愛する者たちが、墨に感謝し、墨に遊ぶ。
また、墨を通した交流と墨の多様性を感じ、墨の表現の新たな発見と向上を願う。そして、来年、また同じ場所で、墨の匂いと共に再会しようと別れる。

それが墨フェスだ。

今年で3年目を迎える。

 

2017年。
第一回・墨フェスに参加させていただいた時の記憶をさかのぼってみたい。

和太鼓集団Atoa.による太鼓の音色でその祭りは始まる。
太鼓の一打ちでその場がの空気が清められていくのを感じた。

地下鉄の駅に向かう人の群れの中、何事かと振り返る人。びくっと体を震わす子供。
仙台市地下鉄泉中央駅から続く2階のペデストリアンデッキのドーナツ型の吹き抜けから、下にある墨フェス会場でもあるおへそ広場をのぞき込む人たち。

 

書家たちの熟練の筆さばきと持ち味がきわだつようなパフォーマンスが続く。

そして、この墨フェスの華となったのが、現役高校生たちの作り出す青春のきらめきがほとばしるパフォーマンスだった。袴に襷をかけ、にぎやかな音楽に乗って、大胆な書きっぷりで演舞する書道部の面々。来ていた観客たちも思わず手を叩いてリズムを取って自然に反応し、拍手を送っていた。

私もライブペインティングという枠で参加させてもらった。
最初はやりなれない場で絵を描くことにとまどいながらも、目の前で繰り広げられていた高校生の書道ガールズのみずみずしい弾けるようなパフォーマンスのエナジーを呼吸しながら、自分なりに感じる生きる歓びのような墨絵を描くことができた。

高校生の書道部の存在なしには、墨フェスは、成立しないと肌で感じながら・・・。
その存在感と影響力は圧倒的に大きかった。

 

気が付けば、終盤のパフォーマンスの時間にはたくさんの人達で溢れかえり、賑わっていた。

フィナーレは、Atoa.の演奏に乗って、あたり一面、墨の香りが漂う中、プロの書道家や高校生の書道部メンバー混合による、どでかい紙面に文字を書く寄せ書きタイム。思い思いの文字を書きながら、筆と墨の入った容器をリレー方式に渡しながら、一つの作品を仕上がっていった。連帯感と連携が一枚の紙にギュッと詰まった墨フェスの象徴のようなものだった。

 

そして、今年で3回目の墨フェスが行われることになった。

10月22日。

その日は、令和天皇の即位の礼正殿の儀が執り行われる祝日。
新しい令和の時代の幕開けの年の中でも重要な儀式の日でもある。

そんな聖なる一日に、今年も宮城県仙台市地下鉄泉中央駅前おへそ広場は、墨の香り漂う、墨の演舞の躍動の空気で満たされることだろう。

髙橋 典子

画 家

岩手生まれ、宮城県亘理町在住。

2004年から個展活動開始。
個展、グループ展多数。

Horizon(水平線・地平線)をテーマに、日常の中、自己が感じたリアリティーを色彩に置き換えた半具象的な平面作品をミクストメディアで製作。

宮城県をベースとし、関東・関西でも展示。

2016年親かめ子かめにて個展「自然形象~Human as a part of nature」開催。

2016年、2018年、海外遠征グループ・宙色Japan「日仏交流展SUMI」(Espace Japon/フランス・パリ)に参加。

文筆作業として、河北新報・夕刊「まちかどエッセイ」にて連載。
(2016年10月から2017年2月)
また、2014年1月から、ブログ「My Horizon」を開始。
絵の製作のことや日々、感じているモノゴトを綴っている。

”描くことと書くこと”に喜びを感じながら創作活動を行っている。

http://noriko-takahashi.hatenablog.com/

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