もうすぐ七夕。
色とりどりの短冊に願い事をする日。
そして、年に一度、琴座の織姫を鷲座の彦星がめぐり会う日だとされている。
改めて調べてみると所説あり、ひとことでは語りきれないもののようである。
七夕は、奈良時代、中国から伝来した文化。
712年、日本最古の歴史書「古事記」に”多南婆多”という表記があり、”織女”の意味があるという。
平安時代の貴族の間では、宮中行事として、里芋の葉にたまった夜露を「天の川のしずく」と考え、そのしずくに墨を溶かし、当時、神聖な木とされていた梶の葉に和歌を書いて、字の上達の願いもたくしていたとか。
やがて宮中行事だったものが庶民の間にも広がり、短冊ができる前には、笹の葉に願い事を書き、木に結び付けるという風習があったようだ。これは日本独自のものらしい。
竹は、冬でも緑を保ち、まっすぐに育つ生命力には、昔から、不思議な力があると考えられ、神聖な植物ゆえ、そこに神が宿るとされてきた。
江戸時代には、着物を織る女性たちの上達を願う”乞巧奠(きこうでん)”という祭りがあり、そこで使われている機械を”棚機(たなばた)”と読んでいたのが”七夕”になった説もある。
どんなことが上手になりたいか。
芸事や書道などの手習い事への上達を願う日だったとされている。
今も変わらず続く風習。先人たちの作り出した行事には、四季の移り変わりを工夫しながら、そこにささやかな楽しみを見つけ互いに場を共有し、平穏無事な日々を祈るようなそんな姿勢があるように思える。
今、私が短冊に願いを込めるとしたら何を書くだろう?
作品作りは、日々の努力も技巧の上達も必要だが、努力だけではどうにもらならないとこもある。
一つの作品に煮詰まって、どうにもこうにもたちゆかなくなって、投げ出してしまいたいと思う時もある。
そんな時は、そこから離れて、外に出て歩いたりして、頭に上がったエネルギーを下へ降ろす。一度、フラットな状態に自分を戻す。無の状態になることはとても大事なこと。
「天の川」NORIKO・画
そうすると、
ふっとなにかが来る。
ふわっとなにかが降ってくる。
たくされたものがやって来る。
それを捉える感覚を大切にしてゆきたいと思う。
天に向かって、笹の葉に想いを書みたい。
日々、精進します。
そして、いつもありがとうと…。
≪参考文献≫京都地主神社ホームページ http://www.jishujinja.or.jp/
髙橋 典子
画家/ライター
1970年、岩手生まれ、宮城県亘理町在住。
2004年から個展活動開始。
個展、グループ展多数。
Horizon(水平線・地平線)をテーマに、日常の中、自己が感じたリアリティーを色彩に置き換えた半具象的な平面作品をミクストメディアで製作。
宮城県をベースとし、関東・関西でも展示。
2016年親かめ子かめにて個展「自然形象~Human as a part of nature」開催。
2016年、2018年、海外遠征グループ・宙色Japan「日仏交流展SUMI」(Espace Japon/フランス・パリ)に参加。
文筆作業として、河北新報・夕刊「まちかどエッセイ」にて連載。
(2016年10月から2017年2月)
また、2014年1月から、ブログ「My Horizon」を開始。
絵の製作のことや日々、感じているモノゴトを綴っている。
”描くことと書くこと”に喜びを感じながら創作活動を行っている。